【プレスリリース】聴覚障害者のための遠隔支援システム無償配布を開始

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【プレスリリース】聴覚障害者のための遠隔支援システム無償配布を開始

聴覚障害者のための遠隔支援システム無償配布を開始
~ インターネットを使い字幕提示を実現~


【概要】
筑波技術大学(所在地:茨城県つくば市、学長:大沼直紀)は、 ロゴスウェア株式会社(本社:茨城県つくば市、代表取締役社長:石神優)と共同で開発した 「聴覚障害者のための遠隔支援用ソフトウェアUDPConnector」の無償配布を行うことを発表しました。

「聴覚障害者のための遠隔支援システム」とは、教室の音声と映像をインターネット経由で 遠隔地にいる字幕作成グループ(パソコン要約筆記団体)に送り、そこで字幕化されたデータを 元の教室の聴覚障害者に提示するシステムです。

従来、パソコン要約筆記者を聴覚障害者のいる教室に派遣し字幕を提示しているところを、 本システムによって、遠隔地からの支援も可能となります。このシステムの活用によって、 聴覚障害者に対する遠隔支援を低負担で実現でき、かつ、高度なスキルを有する人材を有効に活用できるようにもなります。

【詳細】
●聴覚障害者に対する支援の現状
全国の大学および短期大学には、およそ1,300名の聴覚障害学生が学んでいます。 聴覚障害者の社会進出が進んだことや、一般大学による聴覚障害学生の受入数の増加により、 より専門性の高い教育を受ける聴覚障害学生も増えています。 また、一般大学では聴覚障害学生が1校に1名ないし2名という場合が数多く見受けられ、 多くの教育機関に分散して在学しているのが現状です。

聴覚障害者が講義を受ける場合、講師から重要な講義内容を聞き取ることができないため、 他の学生に比べて不利益を被ります。一般に、この不利益を無くすためには、 講義と平行して手話通訳や文字による支援(情報保障)が実施されなければなりません。 文字による情報保障には、授業中に発せられた講師等の音声情報を要約して 聴覚障害者に提示するパソコン要約筆記(図1参照)という手法が使われるのが一般的です。

パソコン要約筆記では、通常、講義1回に対して3人程度の要約筆記者が教室に派遣され、 “教室内”で要約文作成のための連携作業を実施します。 要約筆記者は、教室内に各担当者が持ち込んだノートパソコンを使い、要約文章をリアルタイムに入力します。 各パソコンは、HUBを介してローカル接続されており、複数の要約筆記者が連携して要約文を作成し、 それがHUBに接続された表示用パソコンに表示されることによって聴覚障害者に提示されます。

●本システムによる解決
地域によっては人材の確保や、高度なスキルを持ったパソコン要約筆記者の確保には 現在のところ困難を伴うことが少なくありません。 今回開発された遠隔支援システムは、この問題を解決するために、インターネットが活用されています。 インターネットを通して、教室の音声や映像を遠隔地にいる要約筆記者のもとに配信し、 そこで字幕化されたデータを再びインターネットを通して、教室のパソコンに戻す仕組みになっています(図2参照)。

このような仕組みを持つ本システムの利用によって、都市部に集中するPC要約筆記団体等が、 情報保障手段を確保が困難な地域にある学校への遠隔支援を実施することが可能になります。 また、専門性の高い講義に対しては、その分野の予備知識や高いスキルや経験が必要となります。 そのような人材をシェアするためにも本システムは有用です。 一方、複数のキャンパスを有する大学では、育てた要約筆記者の多くが特定のキャンパスに在籍しているケースもあります。 そうした場合でも、他のキャンパスへの支援を実施することが可能となり、貴重な人材の活用ができるようになります。
筑波技術大学では、聴覚障害者に対する情報保障に関する研究活動を組織的に実施しており、 今回、この研究過程で開発したソフトウェアを営利、非営利を問わず聴覚障害者支援を 行っている団体に対して無償配布を行うことになりました。

今回のシステムでは、要約筆記者が従来から使用していたソフトウェアや連携手法を 比較的そのままインターネット環境でも使用できるようにしました。 そのため、簡単に遠隔支援体制を構築できるという利点があります。
また、上記のような地域の人的なリソース問題への対応や専門性の高い講義内容への対応のみならず、 遠隔支援システムを利用することにより、次のような新たな利点も得られます。

●初等教育の場での生徒への精神的な負担の軽減
一般の小学校等では、聴覚障害児童はクラスの中でも極少数です。 この聴覚障害児童のために情報保障を行う場合、情報保障のために複数の“大人”が教室へ出入りする事になります。
通常、教師以外の大人が教室に出入りする機会は少なく、また、聴覚障害児自身への精神的な負担を考慮すると、 可能な限り別室から支援することが望まれます。
本システムでは、支援者は教室外の遠隔地におり、生徒への負担の軽減の点からも有用です。
筑波技術大学

備考:
本システムは「クライアント側で動作するWindows用プログラム」と「サーバー側で動作するサーバー用プログラム」に分けられます。 サーバー用プログラムは、サーバーPC上のサーバーアプリケーションソフト (名称Flash Media Server:開発用ソフトウェアを購入することでライセンス上利用可能)上で動作します。
今後、オープンソース・サーバーへの対応も検討しています。サーバーはWebサイトからダウンロードできますが、 使用には開発環境(Adobe Flashのどれかのアカデミックバージョン)が必要となります。

■筑波技術大学
TEL:029(858)9408 / FAX:029(858)9411
e-mail:miyoshi@a.tsukuba-tech.ac.jp
障害者高等教育研究支援センター 准教授・三好茂樹