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手作業ゼロで受講規模拡大へ対応──ニチコン「施工ID研修」完全自動化の軌跡

公開日:2026.10.28
手作業ゼロで受講規模拡大へ対応──ニチコン「施工ID研修」完全自動化の軌跡

要約

課題
  • 現地研修にかかるコスト全般の削減のため導入したWeb講義において、準備・講師業務による担当者の拘束が発生。
  • 手動での受講確認や修了証発行など、事務負担が大幅に増大。
解決[選定理由]
  • 教材内製化ツール(STORM・THiNQ)の活用により対面なしでも高い講義品質を担保するeラーニングへ移行。

  • 既存ポータル・Zoho CRM・LMS(Platon)間のSSO連携から、2026年5月のAPI完全自動連携へと段階的にシステム構築を進めた。

成果と運用の工夫[継続的な運用代行・CS(カスタマーサクセス)支援]
  • 受講照合や登録・発行処理の手作業がゼロ化。
  • 受講者の利便性が大幅に向上し、月100名規模への拡大や製品追加、5年周期の資格更新にも耐えうる持続可能な自動化基盤を確立した。

  • Web制作会社様への技術調整支援やシステム構築を実施。資格更新対応や拡大に伴う制作代行を推進。

インタビュー

【背景】 施工ID制度の仕組みと、研修形式の変遷(対面からオンライン研修へ)

Q:そもそも「施工ID」とはどのような制度であり、なぜ研修が必要なのでしょうか?

ニチコン 出口様

当社の家庭用蓄電システムやV2Hシステムは高い施工品質が求められるため、施工店様向けに「機器の設置方法」から「立ち上げ(試運転)」、そして「お客様が問題なく使える状態にする(引き渡し)」までの一連の流れを研修しています。この施工ID資格は会社ではなく「人」につく個人認定制度です。実際の現場では資格を持つ人が自ら作業するか、現場を監督・指揮しなければならない仕組みになっています。
一度取得すると有効期限は5年間で、更新の時期を迎えた方も受講に来られます。
施工店様にとってもエンドユーザー様にとっても欠かせない重要な資格です。

Q:その施工ID研修において、これまでどのような運用上の変遷がありましたか?

ニチコン 出口様

コロナ前は九州・関西・中部などの会場へ毎週のように製品を運送業者さんに運んでもらい対面研修を行っていましたが、社内的なコスト削減方針とコロナ禍が重なり、Webex等によるオンライン研修へ切り替えました。

移動や輸送の費用は削れたものの、オンライン研修は製品ごとの施工用研修資料(PDF)を表示して解説するスタイルだったため、準備や講師業務で担当者が丸一日拘束されていました。
さらに受講後も「当日の欠席者を手作業で確認・判別する」「研修修了者に手動でPDFの修了証を発行する」といった事務作業が発生しており、講義工数の削減と事務効率化に向けeラーニングを併用するスタイルへ移行しました。

【教材作成のアプローチ】教材をゼロから再構築。「音声合成」で制作工数を削減

Q:eラーニングの教材はどのように作成・運用されていますか?

ニチコン 出口様

施工IDは現場での安全と品質に直結する資格であるため、単に既存のオンライン研修用資料を動画化するだけでは、受講者が真に理解・定着できないと考えました。
そのため、講義形式とは異なる「eラーニングとして最も伝わりやすい構成・内容」へと、教材をゼロから作り直すアプローチをとりました。

ゼロから教材を構築し直す作業には大きな工数がかかりますが、ロゴスウェアのSTORMにある「テキスト音声合成機能」を活用することで、ナレーションの吹き込みや動画編集の手間を大幅に削減できました。
また、流し見を防ぎ確実に理解してもらうために、合格必須の「確認テスト機能(THiNQ)」をセットで組み込んでいます。
受講者がテスト合格に向けて必ず教材を見直す流れを作れたことで、講義形式でなくても確実に理解・定着を確認できる体制が整いました。
手間をかけて教材構成を見直したことと内製化ツールの活用により、講師が対面で教えずとも高い講義品質と理解度を担保できる体制が整いました。

【システム連携】なぜ段階的な自動化(As-Is ➔ To-Be)を選んだのか

Q:会員ポータル「パートナーズ倶楽部」やZoho CRMとの連携プロセスについて教えてください。

ニチコン 出口様

すでに「パートナーズ倶楽部」で受講申し込みを受け付け、Zoho CRMで顧客・ID情報を管理する仕組みがあったため、この既存資産を活かしたままLMS(Platon)を組み込む必要がありました。
Web制作会社と御社(ロゴスウェア)を交えた3社で連携フロー(SSOおよびAPI)を整理し、段階を踏んで構築を進めました。
特に、御社がWeb制作会社と直接技術的な調整を行ってくださったおかげで、当社側の調整負担が大幅に軽減されたと感じています。

【運用フェーズの推移】

  • フェーズ 1(初期運用 / SSO+手動確認):
    「パートナーズ倶楽部」にログインしていれば、Platonへ再ログインなしで遷移できるSSO(JWT認証)を導入。受講登録や修了情報の照合は手動確認を挟み、運用の流れやデータ構造に不備がないかを実業務の中で検証。
  • フェーズ2(2026年5月 API完全自動連携):
    仕様の検証完了を受け、ポータル × Zoho CRM × LMS間のAPI完全自動連携を実装。決済完了時のアカウント自動発行、受講完了情報のZoho CRMへのリアルタイム記録、施工IDおよび修了データの発行処理を自動化。

Q:完全自動連携が完了したことによる実務上の変化はありましたか?

ニチコン 出口様

毎日の受講者照合、欠席者の手動判別、CSVでのアカウント登録、PDF修了証の手動作成といった細かな手作業がゼロになりました。
また、受講者様からも「移動時間や実施日時の制約がなくなったので非常に助かる」「いつでも受講でき、修了後すぐにID発行処理に進める」といったお声をいただいております。
手動運用の限界を心配することなく受講規模の拡大と研修品質の向上に対応できるようになりました。
受講者アンケートのブラッシュアップも実施中です。

【今後の展望】受講規模の倍増と「5年更新」運用への備え

Q:今後の運用において注力されているポイントは何ですか?

ニチコン 出口様

現在は京都オフィスが管轄する車載V2Hシステム等への展開も進み、受講規模が従来の月50名弱から月100名規模へと拡大予定です。
施工IDは「有効期限5年」の資格であるため、新規取得者に加えて今後は更新受講者もスムーズに受け入れられる運用を維持していくことが重要だと考えています。

更新受講者に向けた新たな研修の付加価値も検討していきたいと考えております。

実際の現場では「施工に時間がかかる」「施工不良が発生する」「問い合わせが多発する」といった課題が起こることがあります。
その要因には、設置の難易度や工事マニュアルのボリューム、あるいは製品側の課題など、様々な仮説が考えられます。
だからこそ、まずはeラーニングのクオリティを高めて「研修不足や伝達漏れ」という要因をあらかじめ排除しておくことが重要だと考えています。
「研修で教え切れていなかったのではないか」という曖昧さをなくすことで、現場で問題が起きた際に何が本当の原因なのかを正しく見極め、マニュアルの改訂や製品自体の迅速な改善へとフィードバックできる健全な循環が生まれます。

システム自動化によって生まれた時間やリソースを活用し、今後はこうした現場品質の向上や製品改善に貢献できる研修運用を目指していきたいと考えております。

 

── 本日は貴重なお話をありがとうございました。

ロゴスウェアの取り組み

ロゴスウェアの支援は、研修や試験のシステムを提供して終わりではありません。

今回のニチコン様の取り組みも、「単にオンライン試験ができればいい」という話ではなく、「全国の施工店にどうやって負担なく受講してもらうか」「現場から集まるリアルな声を、どうやって次の研修や製品改善へつなげるか」という、運用の根っこにある課題や理想の姿を一緒に描き出してきました。

だからこそ、導入後も「ツールベンダーと顧客」という枠組みにとどまりません。定例会の中では、施工店様とのより良い関係づくりや現場の声の活かし方について、同じ目線に立つ「仲間」としてフランクに知恵を絞り合い、試行錯誤を重ねる関係性を大切にしています。

こうした「同じ目線で向き合うパートナーシップ」のもと、現在ニチコン様とは以下のような具体的な領域において、システムの枠を超えた支援と協創を進めています。

【具体的な支援・伴走の取り組み】
  • 既存システムを活かした「完全自動化」への段階的構築支援
    Web制作会社様を交えた技術要件の整理から着手。まずはSSO(JWT認証)による初期運用で実務を検証した上で、Zoho CRMとのAPI完全自動連携の実装を完了。手動管理をゼロ化する基盤を整えました。
  • 開発元だからこそできる「技術伴走」と開発期日コミット
    LMSの専門知識を持たないWeb制作会社様に対し、APIリファレンスの提供やテスト環境の構築、質疑応答をロゴスウェア主導で直接サポート。
    さらに連携に必要な「Webhook」の自社開発スケジュールを調整し、本番稼働期日に合わせて確実に提供を完了させました。
  • 「伝わる品質」と「内製化」を両立する教材制作環境の提供
    現場に負担をかけず、かつ対面なしでも理解度を担保できるよう、吹き込み不要の音声合成ツール(STORM)と合格必須のテスト機能(THiNQ)を提供。高品質な教材の内製サイクルを支えています。
  • 「5年更新」と「現場の声の還元」に向けた未来への伴走
    受講規模の倍増(月100名規模)や5年周期の更新受講を見据えた教材制作代行に加え、研修直後にAIが受講者と対話して現場の本音を可視化する「LOGOSWARE Xeサーベイ」の活用(PoC)など、受講データを製品・マニュアル改善へ活かすための多角的な提案を継続しています。