マイクロラーニング まいくろらーにんぐ

近年、急速な技術革新やビジネス環境の変化に伴い、企業にとって「リスキリング」の重要性が高まっています。リスキリングとは、従業員の既存のスキルを更新し、新しい能力を身につけさせることで、変化する職場のニーズに適応させるだけでなく、新しい業務や職業にも対応できるようにする取り組みです。
本用語集では「マイクロラーニング」に関連する概念を初心者にもわかりやすく解説していきます。
目次
「マイクロラーニング」をひとことでいうと?
マイクロラーニングとは、学習コンテンツを5〜10分程度の短時間で完結する小さな単位に分割し、必要な時に必要な分だけ学習できる形式の教育手法です。スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスを活用し、隙間時間での学習を可能にする特徴があります。
マイクロラーニングの基本概念
マイクロラーニングの「マイクロ(micro)」は「小さい」という意味で、学習者の集中力が持続しやすい短時間の学習に焦点を当てています。この特徴により、学習者は最適なタイミングで効果的に学習を進めることができます。1つのトピックを細分化し、理解しやすい形で提供することで、効率的な知識の定着を図ります。また、学習内容を小さな単位に分割することで、学習者は自分のペースで理解度を確認しながら進めることができ、より深い理解につながります。
マイクロラーニングが注目されている背景
スマートフォンの普及
スマートフォンは現代生活に欠かせないツールとなり、いつでもどこでも学習できる環境が整っています。通勤中、休憩時間、外出先など、様々なシーンで手軽に短時間の学習コンテンツにアクセスできることで、これまでにない効果的な学習機会を提供できるようになりました。
働き方改革の推進
働き方の多様化により、従来型の長時間研修への参加が困難になる中、より効率的で柔軟な学習方法としてマイクロラーニングが注目されています。時間的制約の多い社会人にとって、必要な時に必要な分だけ学べる柔軟な学習は、仕事と学習の両立を可能にします。また、リモートワークの普及により、オンラインでの学習ニーズがさらに高まっています。
コスト効率化の要請
企業の研修予算が限られる中、従来の集合研修と比べてマイクロラーニングは開発・運用コストを大幅に削減できます。さらに、学習者の移動や宿泊費用も不要となり、研修全体のコスト効率を高めることができます。この点は、集合研修との効果的な組み合わせによって、より良い学習効果を維持しながらコスト最適化を実現できます。
マイクロラーニングの具体的な特徴
効果的なマイクロラーニングの設計には、以下のような要素を適切に組み合わせることで、学習者の理解度と満足度を最大限に高めることができます。
コンテンツの形式
短い動画、クイズ、音声コンテンツなど、多様な形式で提供されます。動画は実践的なスキルの習得に、クイズは理解度の確認に、音声コンテンツは移動中の学習に適しています。これらの視覚的・聴覚的要素を効果的に組み合わせることで、学習者の興味を引き出し、記憶の定着を促進します。
学習時間
1セッション5〜10分程度で完結する設計が基本です。これは人間の集中力の持続時間と記憶の定着に最適な時間とされています。この時間設定は、脳科学的な研究に基づいており、短期記憶から長期記憶への転換が最も効果的に行われる時間帯とも一致しています。また、この短時間設定により、学習者は日々の業務や生活の中で無理なく学習を継続することができます。
モバイルファースト
スマートフォンでの学習を前提としたデザインと機能を備えています。画面サイズに適した表示や操作性を重視しています。タッチ操作に最適化されたインターフェース、読みやすいフォントサイズなど、モバイルデバイスでのユーザー体験を最大限に考慮した設計となっています。また、オフライン学習機能を備えることで、通信環境に依存せず、いつでもどこでも学習を継続できる環境を提供しています。
マイクロラーニングに適した学習分野
マイクロラーニングは、特に次のような学習分野において優れた効果を発揮します。その理由は、これらの分野が短時間での学習に適した構造を持ち、反復学習や段階的な知識の積み上げが可能だからです。また、日常的な実践や定期的な復習が重要な分野であり、マイクロラーニングの特徴である「必要な時に必要な分だけ学ぶ」というアプローチが非常に効果的です。
言語学習
例)単語、フレーズ、文法ポイントなど
短時間で覚えられる単位に分割しやすく、反復学習が効果的です。また、モバイルで気軽に学習できるため、通勤時間などを活用した日常的な学習が可能です。
IT・デジタルスキル
例)新しいソフトウェアの操作方法、セキュリティ対策など
機能やプロセスを小さなステップに分解できるため、段階的な習得が可能です。また、技術の更新が頻繁な分野であり、必要な知識を素早くアップデートできます。
コンプライアンス研修
例)法令改正のポイント、社内規定の確認など
重要なポイントを簡潔に伝えることができ、定期的な確認や更新が必要な内容を効率的に学習できます。法改正などの変更にも迅速に対応できます。
製品知識
例)新商品の特徴、技術アップデートなど
新製品や更新情報を即座に全社員に展開でき、セールスポイントや仕様変更を効率的に学習できます。現場での実践に直結する知識を提供できます。
ビジネススキル
例)時間管理、プレゼンテーション技法など
具体的なテクニックや方法論を小さな単位で習得でき、実務の中で即座に実践することができます。必要なスキルを必要な時に学べる利点があります。
マイクロラーニングコンテンツの効果的な作り方
マイクロラーニングコンテンツを効果的に作成するためには、以下のようなポイントを押さえることが必要です。これらのポイントは、学習者の興味を引き、理解を深め、知識の定着を促進するために不可欠な要素となります。さらに、これらの要素を適切に組み合わせることで、より効果的な学習体験を提供することができます。
明確な学習目標
1つのコンテンツにつき1つの明確な学習目標に焦点を絞ります。これにより、学習者は何を学ぶべきかを明確に理解し、効果的な学習成果を得ることができます。
シンプルな構成
情報を最小限に抑え、核となる重要な内容だけを簡潔に伝えます。余分な情報を排除することで、学習者の理解を深め、記憶の定着を促進します。
インタラクティブ要素
クイズ、ミニゲーム、シミュレーションなどの双方向的な要素を効果的に取り入れ、学習者の積極的な参加を促します。これにより、学習意欲を高め、実践的な理解を深めることができます。
視覚的な工夫
図表、イラスト、アイコンなどを効果的に使用し、複雑な情報をわかりやすく視覚化します。これにより、学習者の直感的な理解を促進し、長期的な記憶の定着を支援します。
マイクロラーニングの実践的アプローチ
マイクロラーニングの本質は、「短時間・小単位で、日常のスキマに学ぶ」という学習スタイルにあります。そして、その考え方を現場に定着させるためには、単に短い教材を用意するだけでは不十分です。必要なのは、学ぶ側の利便性だけでなく、提供する側の負担も最小限に抑え、かつ効果的に運用できる仕組みです。
その点で、LOGOSWARE Spotty(ロゴスウェア・スポッティ)は非常に優れたマイクロラーニング支援ツールです。Spottyは、大がかりなカリキュラム設計を必要とせず、10分〜20分程度で完結する“スポット型”の学習に最適です。
Spottyの特長は、「①コンテンツ準備 → ②配信 → ③結果取得」の流れをすべてワンストップで完結できる点です。また、専用スマホアプリにより、通勤や隙間時間を活用した学習が可能で、リマインドの通知機能で継続的な学習をサポートします。さらに、ITパスポートやFP技能検定の問題集を無料提供しており、社内の学習支援ツールとしてもすぐに活用できます。
参考リンク:社員教育向け問題集&テスト配信システム LOGOSWARE Spotty
経営者・人事担当者のための「マイクロラーニング」Q&A
Q1:マイクロラーニングは従来の研修に置き換えられますか?
A: マイクロラーニングは従来の研修方法を完全に代替するものではなく、むしろ既存の教育プログラムを補完し、強化する役割を果たすことが推奨されます。特に、実践的なスキルやコンピテンシーの習得においては、従来の対面研修との効果的な組み合わせが重要です。マイクロラーニングは、事前学習や復習、知識の定着確認などの場面で特に効果を発揮し、対面研修での深い学びをサポートする役割を担います。
Q2:若手だけでなく、ベテラン社員にも効果はありますか?
A:はい。マイクロラーニングは年齢や経験に関係なく効果を発揮します。ベテラン社員にとっても、短時間で必要な知識を効率的に習得できることは大きな利点です。マイクロラーニング向けシステムは、操作方法がシンプルで、画面の見やすさや文字サイズにも配慮した使いやすい設計になっています。特に業務手順の更新や制度改定、法改正対応などには、長年の経験を持つベテラン社員こそ、最新の知識やスキルを効率的に習得することが必要不可欠です。
Q3:現場での「見てもらえない」「続かない」が心配です
A:継続的な学習を促すためには、定期的なリマインドと進捗管理が重要です。メールやアプリ通知による学習リマインド、進捗状況の可視化、上司や同僚からのフィードバックなどが効果的です。また、短時間で完結する学習ユニットを提供することで、学習者の負担を軽減し、習慣化を促進することができます。
たとえば、LOGOSWARE Spottyは、マイクロラーニングの学習に特化しており、プッシュ通知でリマインドが可能です。また、短時間で完結するため「学習を習慣化しやすい設計」がされています。さらに、完了率を可視化して上司がフォローできる仕組みも備えています。
参考リンク:社員教育向け問題集&テスト配信システム LOGOSWARE Spotty
まとめ
マイクロラーニングは、現代の多様な働き方に適応した効率的な学習スタイルです。短時間・モバイル対応・反復学習などの特長を活かし、企業の教育施策を柔軟に設計できます。一方で、マイクロラーニングの効果を最大限に引き出すためには、慎重な準備と戦略的な判断が不可欠です。具体的には、学習コンテンツの適切な選定、システムの導入方法の検討、そして運用体制の整備が必要です。自社の課題や目的に応じて導入し、継続的な改善を行うことが成功の鍵になるでしょう。